「消化器病の根絶」と「Molecular Gastroenterologyの確立」を目標に、「RNA」、「慢性炎症」、「老化」 と 「細胞分化」 を中心とする観点から、肝臓・膵臓・消化管 などの消化器系の臓器に発生する疾患の病態解明・新規治療法開発につながる基礎研究を幅広く行っています。
基礎的手法は臓器組織によらないものが多いので、グループは消化器の専門領域にとらわれず各領域を専門とする先生方で構成しています。新しい手法をグループ内で共有し、そこに各自各領域の創意工夫を加えることで、消化器疾患の克服にむけた革新的な知見を得るべく日夜一丸となって努力しています。
現在グループが進めている研究内容や具体的な研究成果などについては、こちらのブログ を御覧ください。
特に近年は、HBVの複製に重要なウイルスタンパクであるXタンパク(HBx)に着目し、HBxと相互作用する宿主因子やHBx依存的に分解される宿主因子の網羅的同定を通じて、新規治療標的の探索を行っています。
遺伝子改変・薬剤・食餌などによって、なるべくヒトの病態に近いマウス肝胆道疾患モデルを作成し、病態解析と治療応用への基礎的検討を行っています。
主なテーマは次の3つです。
最近では、NASHから発癌するモデル1)や原発性硬化性胆管炎(PSC)から発癌するモデル2),3)を新たに作成し報告しています。またメタボロミクス解析を用いたNASH・代謝関連肝癌の病態解明4)、オルガノイドや細胞系譜解析を用いた組織幹細胞・癌起源細胞の同定5)など、肝胆道疾患の新規治療法開発に向けて様々なアプローチで取り組んでいます。さらには、肝臓臨床グループとも密に連携し、臨床上の疑問をマウスモデルで解明する一方、マウスモデルで得られた知見を臨床検体で確認するといった方法で、お互いの理解を深めています。また肝臓にとどまらず、消化管グループとも一緒に研究を行っており、腸内細菌などを介した肝疾患と消化管とのinteractionについても解析を進めています。