遺伝子パネル検査

概要

がん遺伝子パネル検査(Comprehensive genomic profiling:CGP)は、がんの組織もしくは血液を用いて、がんの原因となっている遺伝子異常を調べ、その遺伝子異常に応じた治療(主には分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など)を見付けるための検査のことです。2019年6月に本邦でCGP検査が保険承認されて以降、6万人以上の固形がん患者にCGP検査が行われています。適応は標準治療終了後(もしくは終了見込み)となっており、標準治療以降の治療選択肢を増やす目的でCGP検査を行います。CGP検査後の薬剤到達性(遺伝子異常に応じた治療ができた割合)は9.4%とまだ十分な成績ではないですが、遺伝子異常に応じて選択可能な治療(保険治療、治験、患者申出療養など)は年々増え続けています。現在、がん組織を用いたCGP検査が3種類、血液を用いたCGP検査が2種類の合計5種類のCGP検査を行うことが可能です(図1)。どれも値段は56万円(3割負担の場合の患者負担は56万円×0.3=16.8万円)で、CGP検査の結果開示までの期間はCGP検査の種類によって若干異なります(概ね1-2か月程度)。がん組織を用いたCGP検査の一つであるGenMineTOP®(図2)は東京大学と国立がん研究センター研究所、コニカミノルタ社が共同で開発したCGP検査で、DNA 737種類・RNA 455種類を調べることができます。

治療実績

当院では2019年6月にCGP検査が保険承認される以前から先進医療・自費診療等でCGP検査を行っています。保険のCGP検査が施行可能になってからは、当院のみで500人以上の固形がん患者がCGP検査を受けています。消化器がん(食道がん、胃がん、小腸がん、結腸・直腸がん、肝細胞癌、胆道癌、膵癌など)に対しても積極的にCGP検査を行っており、手術検体だけでなく、微小検体(内視鏡で採取した生検検体)を用いたCGP検査も施行可能です。院内で抗がん剤治療を行っている患者のみならず、他院からもCGP検査目的の紹介を受け入れています。

(図1)現在本邦で選択可能ながん遺伝子パネル検査
(図1)現在本邦で選択可能ながん遺伝子パネル検査
(図2)GenMineTOP(がんゲノムプロファイリングシステム)- コニカミノルタREALM | コニカミノルタ(konicaminolta.com)
(図2)GenMineTOP(がんゲノムプロファイリングシステム)- コニカミノルタREALM | コニカミノルタ(konicaminolta.com)