内視鏡的逆行性胆道膵管造影

内視鏡的逆行性胆道膵管造影とは

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP :endoscopic retrograde cholangiopancreatography)は、内視鏡(カメラ)を口から入れて食道・胃を通り、十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いカテーテル(チューブ)を挿入し造影剤を注入してレントゲン写真を撮影することで、胆道及び膵管の異常を詳しく調べる検査です。本検査は1970年に開発されて以来、これらの臓器に関する病気の診断と治療に大きな貢献をしてきた標準的な検査法です。エコーやCT・MRIなどでもこれらの管に関する情報を得ることはできますが、直接的に検査ができ、必要により病気の部分から組織を採取して病理検査をすることができるため、ERCPがこの領域の最終的な精密検査法として位置付けられています。

ERCPを利用した検査

胆管や膵管に結石(胆管結石、膵石)や悪性腫瘍(癌)があるかどうかを調べることができます。癌が疑われる場合には、病理検査を行うため胆管や膵管の組織を採取することができます。さらに詳しい評価のために、先端に超音波診断機器のついた細い管を胆管や膵管の中に入れて超音波による精密検査を行うこともできます。

ERCPを利用した治療

ERCPは開発された当初は、胃のバリウム検査などと同様に画像による診断を行うためのレントゲン検査でした。近年、ERCPの技術を応用することで、胆管や膵管の様々な病気の治療(内視鏡的手術)を行うことができるようになりました。ERCPによる内視鏡的手術は内視鏡のみを使っておこなうので、皮膚に傷は残らず、全身麻酔による開腹手術と比べれば体への負担が少ない治療と言えます。