肝生検

肝生検とは

肝生検は、現在の肝線維化の状態や肝炎の程度、または腫瘍の性状を正確に知るための検査です。血液検査や超音波検査等でも肝線維化や炎症の程度の推測は可能ですが、最終確認は生検にて行われます。また、肝臓疾患の中には、肝生検を行わないと原因の特定や診断確定が困難あるいは不可能な疾患が存在し、その場合、肝生検は今後の診療に不可欠な検査となります。
 

肝生検には背景肝生検と肝腫瘍生検があります。背景肝生検は肝臓の組織を採取し、肝臓の炎症や線維化(肝硬変か否か)の程度、肝臓の障害の原因を評価しています。肝腫瘍生検は、肝臓にできた腫瘍の性状を評価するため、超音波で肝腫瘍を描出しながら腫瘍内に専用の針を刺し、組織の断片を採取してくる検査です。

肝生検では、約1.5ミリ (腫瘍生検の場合は約0.8ミリ)の太さの針を超音波で見ながら肝臓の表面に刺入し、長さ約2.0cmの糸状の肝組織を採取します。取られた検体は、病理標本を作製した後に顕微鏡で観察、診断します。正式な診断には2週間程度かかることがあります。肝生検に際しては、まず、静脈から鎮痛剤・安定剤などを注射した後に、皮膚および肝臓表面に局所麻酔を行います。刺入時の痛みは一般的には軽度であり、我慢できないほどの痛みは非常にまれです。術後も刺入部の痛みが数日残ることもありますが、ほとんどは自然に軽快します。