早期の大腸癌では血便・便通異常などの症状がでることもありますが、一般的には症状がないことがほとんどです。
大腸癌は日本においては死亡者数が増加中であり、結腸癌・直腸癌を合計すると年間5万人以上の方が亡くなる原因となっており、米国における年間大腸癌死亡者数を上回る状況になっています。大腸癌の危険因子としては、加齢、喫煙、飲酒、肥満、加工肉や赤身肉の摂食の他、近親者に大腸癌の方がいることや潰瘍性大腸炎が知られています。
大腸癌はがん検診の対象となっており、「40歳以上の方に年1回便潜血検査」を行うことが推進されています。早期大腸癌であれば95%以上の5年生存率が期待されますし、StageIIIであっても70%以上の5年生存率が期待されるため積極的ながん検診受診および要精密検査となった場合の受診をお勧めします。
一般的には下部消化管内視鏡検査を行います。白色光による通常観察とともに、画像強調観察(Narrow Band Imaging:NBI, Blue Laser Imaging:BLI, Linked Color Imaging:LCI など)、インジゴカルミンを併用することで病変検出率を上げています。抗血栓薬内服している場合や血液凝固異常がない場合にはポリープを見つけた場合には切除することもあります。外来検査では切除できないような大きな病変の場合には、更に拡大内視鏡検査を追加することで、病変の深達度についても推測ができ適切な治療法の検討材料としています。またCT検査などを追加することでリンパ節転移の有無などを判断します。
早期大腸癌においては現在は内視鏡的粘膜切除術(EMR)もしくは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が標準的に行われております。早期大腸癌の範疇を超える病変については、外科手術・放射線化学療法などが選択されます。